2019年10月
2019年10月14日
<口腔自衛隊> ~歯ぎしり、かみしめ注意!~
体の組成の中で一番硬い物質は歯の表面を覆っているエナメル質です。かたさはダイヤモンド10に対して7もあります。(モース硬度)
次に咬合力は強い人で100㎏ぐらいあります。
ほぼ同じ構造を持つ猿が固い木の実をバリバリ食べているのを見たこともある人もいると思います。人の歯も潜在的にそのぐらいの能力は秘めています。原始時代は似たような生活様式だったと思います。
現代人は猿や原始人と違い、料理して柔らかく食べやすくしたものを口にすることがほとんどです。食事で歯及び歯周組織を痛めることは少ないです。
ではどのようなときに痛めることが多いのか…
実は、その丈夫な歯そのものが歯自身を痛めてしまうこともあるのです。それが無意識の時(睡眠時含む)の「歯ぎしり」や「かみしめ」の習癖です。固い歯同士がコスリあわされてお互いに擦り減ったり欠けたり、または支えている骨や歯肉を痛めます。若いうちは顎関節症の原因にもなります。この習癖がある人とない人を比較すると、ある人は歯を失うリスクが格段に上がります。甘いものを好むわけでもなく、歯ブラシもきちんとしてるのに歯医者通いが多い方は一度この習癖の有無を調べておいたほうが良いと思います。
福田 哲嗣
2019年10月12日
<口腔自衛隊> ~小児の予防 甘味暴露の時間!~
子どもの虫歯予防に効果的なのは…ずばり食生活です。身も蓋もありません。
歯ブラシを一所懸命やろうが、フッ素塗布しようが、キシリトール咬もうが、「甘い」ものが好きな人は虫歯になりやすいです。
わかりやすくするために極端な話をします。一気飲みを推奨しているわけではありません。一本の甘いジュースがあったとします。飲み方で虫歯のできやすさが、変わります。一気飲みとちびちび時間をかけて飲む場合、どちらが虫歯になりやすいかというと、ちびちびと飲むほうが虫歯罹患率はあがります。このことからもわかるように、口の中が甘い状態になっている「時間」が長いほど虫歯菌が活躍します。
同じ理屈で、口さみしい時に飴やキャラメル、グミetcを舐める「習慣」があると虫歯罹患率があがります。ケーキと飴を比べた時どちらがより虫歯になりやすいかというと飴です。使用する砂糖の量はケーキのほうが多いでしょう。でも飴みたいにケーキを数分間くちゃくちゃと口腔内に留まらせている人はいないはずです。飴は数分間徐々に唾液によって溶け出され、その間、口腔内が砂糖水浸かったようになります。当然虫歯菌が活躍できる時間も増えます。虫歯になるかどうかは砂糖の「量」ではなくて「時間」がポイントになります。口腔内が甘い状態になる「時間」を可能な限り少なくしましょう。
<口腔自衛隊> ~将来の不安に怯えない~
口腔内は自然そのものです。自然をコントロールできると考えるのは危険です。
現状問題なければ、手を付けない事も大事です。我々の口腔内は、悠久の生物の進化の歴史を経てつくられています。生まれたままの口腔内が完成された状態といって良いのです。なので、虫歯になったとき、なぜそうなったかを考えることが、とても大事です。
今まで問題なかったのに、急に歯が痛くなったとしましょう。その時に、ただ治療をするだけではなく、どうして虫歯になってしまったかを考えるのです。そうすると、例えば、今まではお母さんが三食健康的な料理を作ってくれていたのが、社会人となり、一人暮らしを始めた途端の食生活の乱れが原因だと判明したりします。そこでよくあるのは、日本人の悪い癖で薬に安易に頼ろうする思考ですが、今度は副作用を心配しなければなりません。そうではなくて、もとの健康的な(食)生活に近い状態にすればよいだけです。お金もかからないし、心身も健康にもなるし良いことづくめです。
口腔内の二大疾患(虫歯、歯周病)は死に至る病ではないので、慌てることなく自分を振り返る時間があります。
福田 哲嗣